「ネオンデーモン」を観た

一度目を観たあと、一日空けてすぐにもう一度観た。

何度観ても完璧にかっこいい映画だと感じた。普段映画を観るときは、わりと「映画を観るぞ」と腰をいれて(?)みるけど、この映画は、好きなアルバムを聴くときのようにスムーズに何度でも観れるな、と思う。

この映画は美についての映画だ。主演のエル・ファニングはそれにふさわしく、妖精のように美しい。

そして、彼女が美しいからこそ、観てるこちらは常に恐れてしまう。彼女のピュアな美しさがいつ失われてしまうのだろうか、と。

彼女は常に”美しさ”という卵を抱えているのだ。そして、観てるこちらは、彼女が誰かに足を引っ掛けられて、その卵を落として割ってしまわないか常にハラハラしてしまう、という訳だ。

一方で、彼女の卵は強力な武器でもある。彼女がその美しさでもってウザい先輩モデルに余裕で勝利してしまう様は爽快だ。しかし、彼女の価値が示されれば示されるほど、不安は大きくなっていく。

そして終盤、不安は的中し、彼女の持っていた卵は文字通り思いっきり地面へ叩きつけられる。歪んだカタルシスが観客を襲う。

その後、物語はある種非現実的なイメージで描かれることになるが、それは、これまでみせられてきた”美しさ”の生理的な気持ち悪さの側面を強調してみせられたかのように感じられた。

「Drive」とはまた違った空気をもつ、美しく、そして気持ち悪い、素晴らしい映画でした。