「Mommy / マミー」を観た。

Netflixにあったので観た。グザヴィエ・ドラン監督作品の前作。

「たかが世界の終わり」とはうって変わってストレートな感動娯楽映画で、いい意味で驚いた。画面サイズのアレコレはちょっとやり過ぎかなぁとは思ったけど、演出は素晴らしく、音楽の使い方もやっぱり上手い。また、キャラクター造形が絶妙で、キャラクターをたてるのも上手い。

特にカイラというキャラクターの配置が絶妙で、もし彼女がいなくてスティーヴと彼の母親だけの話だったら、ここまで話にのめり込めなかったと思う。家族の外側にいる彼女の視点があるからこそ部外者である僕も彼らの関係に入り込んで観てしまう。

欠けた者どうしの3人が、たとえほんのわずかの間だけだとしても、歯車がうまく噛み合って楽しい時間を過ごせたときのかけがえのない多幸感。それが味わえるシーンは多くはないが、だからこそどれも心に残るものになっている。

「たかが世界の終わり」の会話は(特に前半は)鈍重な展開だと感じていたので、こんなにサッパリとして軽快な楽しい会話も描けるのか、と感心した。

新たなクラシックと言ってしまっていいと思う(もうそんなに新しくはないですが)。
この”エモさ”の切れ味はちょっと他にはない感じがある。

ドラン監督、参りました。